アイキャッチ画像

ライブ配信はニュータイプのSNSである

ライバー事務所の社長やライブ配信プラットフォームの内部関係者など、ライブ配信業界のトップを走る方々に「ライブ配信業界のこれから」を語っていただく本連載。

第2回目に出演いただくゲストは、ライバー事務所「LIVESTAR」を運営する株式会社LIVESTAR代表取締役の西村翔太郎さん。事務所設立から1年半でエイベックス傘下に入るなど企業家としても注目度の高い彼が、ライブ配信業界の未来をどう捉えているのか聞いてきました。

【プロフィール紹介】株式会社DeNAに新卒入社後、ソーシャルゲームのビジネスプランニング・コミュニティマネジャーを経て、ライブ配信プラットフォーム「Pococha」チームに配属。独立後にライバー事務所「LIVESTAR」を設立し、1年半でエイベックスグループにM&Aした敏腕起業家。

「ENJOY LIVER LIFE」が実現できる組織を目指して


岡田

企業するタイミングでライブ配信業界に注目した理由を教えてください。


西村

もともと「Pococha」の運営を担当していたことが、直接的に市場を知る機会になっています。

当時はまだユーザーの規模感でいうと今の1/100以下でしたが、オーガニックでユーザーが増え、売上が指数関数的に成長しているのを目の当たりにし、とても大きなポテンシャルを感じていたんです。




岡田

業界的にスケールする算段をつけていたんですね。


西村

一方で、ライブ配信の知名度はまだまだ低い。このポテンシャルに対する認知のギャップに目をつけ、市場を広げる役割が自分にも担えるのではないかと考えました。




岡田

御社の特徴を簡単にご紹介いただきたいです。


西村

弊社にはカルチャーとして“あたたかいコミュニティ”があります。

競合他社がどんな施策をやっているかなどの業界的な視点よりも、所属ライバーさんにとっての有益性と向き合い形にしていくことが最重要ミッションであり、どうすればライバーさんが楽しく配信できるかを常に念頭に置いたサポートを全力で行っています。




岡田

西村さんは具体的にどのような業務を遂行されているのでしょうか?


西村

担当マネージャーがライバーさんに送るLINEの文言に問題がないかチェックするなど細かめのタスクもありますし、管掌している領域が広いのでなかなか絞り込むのが難しいのですが、直近で意識しているのは会社の根幹となる機能を作ることです。

具体的には、会社のコンセプト設定や行動規範の策定をはじめ、組織としてどのようにベースアップを図っていくのがいいかを設計しながら実行しています。




岡田

「ENJOY LIVER LIFE」もそのひとつですよね。


西村

おっしゃる通りです。ライバーさんが楽しく配信し続けるためには何が必要か考えたときに、我々は3つの「ENJOY」が重要だという結論に至りこのコンセプトが完成しました。



引用引用

①ライバーとして成長していく楽しさ
②仲間がいる楽しさ
③ライブ配信を通じて社会で活躍する楽しさ


西村

ライバーとして結果を出すことでライブ配信が楽しいものになる。だからこそ我々は育成に力を注いでいますし、ライブ配信が社会的に健全に広がっていくことが重要だと考えています。そして、仲間がいる楽しさを味わってほしい。これは先ほどのコミュニティを重要視する弊社のカルチャーともリンクしてきます。




岡田

LIVESTARの所属ライバー同士が仲良しな印象ですが、コミュニティ運営の秘訣があれば知りたいです。


西村

「仲間がいるからこそ楽しめる」いうメッセージは、創業当時からコツコツ伝え続けてきました。事務所に所属する最大のメリットはつらい時やつまづいた時に支え合える仲間がいることだと考えていて。

そういう意味ではライバーはライバルじゃなくて同志なんです。みんなで市場を盛り上げてライブ配信そのものを知ってもらい、みんなでチャンスを広げていこうという気持ちが大事。




岡田

西村さん自身はコミュニティリーダーとしてどんなことを意識していますか?


西村

僕は集団の先頭に立って鼓舞するタイプではないですし、そもそもコミュニティに中心人物はそこまで必要ないと考えています。みんなで共通の場に集まって、話しやすい人や相談しやすい関係のような小さい結びつきを作った方が結果的にコミュニティとしての絆は強固になる。




岡田

なるほど…!


西村

だから僕は自分が会話の中心になるのではなく、俯瞰して観察しながら「AさんとBさんをつなげたらいい感じになるかも」と思ったらその2人をコネクトして、ちょっと時間が経ったらその場から離れちゃうんです。点が増えれば線になり、線が増えると面積が増える。引っ張っていくカリスマ性より、空気を観察するスキルがコミュニティ運営には大事なのかなと。




岡田

確かに西村さんは親近感系男子なイメージです。


西村

社長っぽくないし親しみやすい、とはよく言われますね。偉そうにしないし、偉いとも思ってないので…(笑)。無理して自分のキャラを崩して、旧来的な経営者像を真似しても意味がないし、自分なりのスタイルでいいと思っています。



もう少しカリスマ感が出せる人になりたい人生でしたけどね(笑)

圧倒的な利便性と独自のスキームがライブ配信の魅力


岡田

これまで多くのライバーさんと接してきたと思いますが、ライブ配信に向いている人の共通点はありますか?


西村

大前提、ライバーに必要な要素は多岐に渡るのでこれだけで何時間も議論できる深みのあるテーマですが、あえて切り出すと接客業に近い側面はあるので、おもてなしの精神がある人は向いてると思います。



岡田

おもてなしの精神…!


西村

ただ、それだけでは不十分です。自分の目標やビジョンを共有し、共感してくれるコミュニティを率いるリーダーシップも持ち合わせていないと大成しません。自分の想いをきちんと混ぜながら他者を巻き込んでいくのも重要ですね。



岡田

どうすれば身につけられますか?


西村

まず自分のビジョンを明確に言語化すること。そのビジョンを実現するためにみんなの力が必要なんだというコミュニケーションの取り方が正しい順番です。みんなを巻き込むのはあくまで手段なので、根本にある強烈な想いが大事。自分の言葉で自分の想いを真剣に語ることができれば、よほどの人じゃない限り自分をサポートしたいと考えてくれる人が現れます。



岡田

それを踏まえて、西村さんが考える「ライバー」とは?


西村

エンターテイナーの1種です。トーク力が抜群にあったり、特技を披露するパフォーマー観点だけではなく、その人の存在が誰かにとって何らかしらのエンタメになっている状態がライバー。だからこそ、その価値は人によって異なります。



岡田

パフォーマンスは1人でもできるけど、エンタメはニーズ起点ですもんね。


西村

社会的な視点であれば、新たな稼ぎ方として時代の最先端をいく存在だと考えています。既存のインフルエンサーはフォロワーや影響力を持つことで副次的に広告がつくマネタイズモデルですが、ライブ配信は自分をマネタイズする機能を直接備えている点が特徴です。



岡田

ライブ配信市場は今後どう変化していくと予想していますか?


西村

ゆるやかに拡大していくだろうと楽観的に考えています。インターネット環境とスマホがあれば誰でも始めることができる圧倒的な利便性と、既存のインフルエンス力の有無に関係なくプラットフォーム内のエンゲージメントが結果に繋がる構造が続く限り、ポテンシャルしかないなと。



岡田

注目しているライブ配信プラットフォームを教えてください。


西村

多種多様な考え方があると思うのですが、誰でも始めやすく段階を踏んだ成長がライバーに見込める点と、リスナーさんも持続的に応援しやすいスキームのサービスとして「Pococha」に注目しています。



岡田

他のプラットフォームと比べるとどう違うのでしょう?


西村

「SHOWROOM」は芸能に寄っていたり、「17LIVE」はトップ層が高額なギフティングをもらえる人だけに偏っていたり、「LINE LIVE」は10代が多かったりと、それぞれポジショニングがある中で市場の王道を突き進んでいるのが「Pococha」なんです。それは言い換えると、市場の成長とともに「Pococha」も成長することと同義。事業のキャップ(天井)が高いという意味でもポテンシャルを秘めていると考えています。



ライブ配信はスモールコミュニティ起点でスケールする

岡田

西村さんが「Pococha」で働いていた3年前と比べて今のライブ配信市場はどう変わりましたか?


西村

人口や属性は徐々に増えていると思います。以前は学生・フリーターなどの素人がほぼ多数を占めていましたが、元タレントや現役のアーティストも参入してきてバラエティが豊富になりました。



岡田

ライブ配信がさらなる認知を獲得するために必要なことを教えてください。


西村

僕はライブ配信=SNSの1種だと捉えています。TwitterやInstagramがどのように裾野を広げていったかを紐解くと、人が人をバイラルで呼びながら口コミ的に拡散したことがわかります。ライブ配信も同様の伸び方をしていくのではないかと思っています。



TwitterやInstagramは広告やCMを打たなくても流行ったので。

岡田

人の行動が連鎖して…?


西村

ライブ配信はバズによって拡散される構造ではないので、友達がやり始めたとか、主婦層のネットワークの中で「コロナで収入は減ったけどバイト代くらいは稼いでいる」などの口コミから少しずつ広がるイメージ。

また、ライブ配信プラットフォームが複数あることで、業界全体のブランディングが難しいからこそ小さいコミュニティ起点で分散していくと思います。



岡田

僕はライバーさんがもっとSNSを駆使する必要があると感じています。西村さんはいかがですか?


西村

活用した方がいいのは間違いないでしょうね。他のリスナーやライバーとの接点にもなりますし、SNSをみて配信見にきてくれるようになったリスナーの方も結構出てきているようなので、きちんと活用していくことで得られるメリットは大きいと思います。



岡田

ライブ配信とSNSは分けて考えたほうがいいですか?


西村

重なる部分はあるけど、現状の規模感では別物と捉えたほうがいいかもしれません。他のSNSを駆使したり外部でコミュニティを作る難易度は高いので、(フェーズによって変化はありますが)まずはライブ配信内で強固な関係値を形成することを優先させたほうがいいと思います。



岡田

ライブ配信業界に身を置く中で感じるやりがいを教えてください。


西村

盛り上がっている市場なので、その中心人物になれる可能性があるのは楽しみのひとつです。お金を稼ぐだけなら他にも事業はありますが、僕は仕事をする上で大局的な勝利の獲得を意識するようにしていて。将棋に例えると目先の歩を奪われるかどうかではなく、どうしたら王将を取れるのかを考えるみたいな。



岡田

目先の利益ではなく、事業のインパクトや影響力を強めることがやりがいなんですね、


西村

弊社の仲間は、ライバーさんも社員も市場のポテンシャルに魅せられてジョインしてくださる方が多いです。まだまだ未成熟で変化が激しい業界なので流動性を楽しみながら僕たちの描くベクトルと同じ方向性で歩んでいける方がいれば、是非LIVESTARに話を聞きに来てください!



クールな見た目とは裏腹に情熱的な口調が印象的だった西村さん。彼の見据えるライブ配信業界の未来をこれからも追いかけていきたい。

ライター紹介

この記事をシェアする

タグ一覧

記事ランキング

ページトップに戻る